太い文字の、大きな焼印 [焼印の作り方]
焼印の篆刻、その工程 [焼印の作り方]
至誠の焼印 [焼印の作り方]
焼印のモデルチェンジ [焼印の作り方]
篆刻台 [焼印の作り方]
石や金、木などに、落款などの、印を彫ることを、篆刻と言います。多くの場合、篆書体が用いられた為のようです。彫の作業には、印材を固定する為、篆刻台を用います。この台は、印を中心に、回転させることが出来ます。
焼印も、篆刻の一種、更なるレベルアップの為、篆刻台を作ることにしました。プレスバイスを、回転台に取り付け、彫る為に都合のよい、治具を装着しています。
焼印の作り方3 [焼印の作り方]
焼印の製作依頼 [焼印の作り方]
焼印に関するコメントは無かったのですが、製作の依頼は時々あります。その中の、様々な話で感じたことを中心に、「焼印をオーダーするとき、何を考えればよいのか?」を少し詳しく記します。
どこに依頼するのか
焼印を使うのは、饅頭などの食品、皮革製品、お土産になる民芸品、釣り道具など結構多く有ります。それぞれ、特徴があり、流用できないことも多いのです。特に、竹竿など、曲面に押す焼印は、特別な特徴をもっています。
製作を依頼するときには、ホームページなどで、どの様な焼印を作っている会社なのかを確認する必要があります。
焼印のデザイン
竹竿や竿掛け、万力など、釣り道具の焼印は、「「用途」、「サイズ」、「書体」、「文字のレイアウト」、「枠の形」の5項目を考えます。
用途
万力やウキ箱、糸巻きなど平面に押す焼印と、竹竿などの曲面に押す焼印では、印の山の形状が違います。
1は判子、2は平面に押す焼印、3は竹竿などに使う焼印、4は焼刻印の山の断面です。
竹の場合、滑らないように食い込ませ、ユックリ廻し、比較的低い温度で、時間をかけて押します。竹を廻したときに、焼印が滑ってはどうにもなりません。竹に食いつくように、山の天辺は尖がらせています。
竹用の焼印は、サイズが小さいこと、食い込みやすいようにすることのため、デザイン上、色々な制約を受けます。この制約を中心に話を進めます。
焼印の作り方、使い方、etc [焼印の作り方]
焼刻印
「焼刻印」は私の造語です。枠無しの焼印を作り、通常より接触面を鋭く刻みます。焼印を入れるより低温で、竹や木材に強く押し当てます。僅かに焦げて、木や竹に刃物で彫り込んだ様な窪みができます。そこに漆などを入れ、銘を際だたせます。色の濃い部材に銘を入れるには、都合の良い物です。もちろん、「焼刻印」は通常の焼印としても使えます。
字体とサイズ
字体辞典などを参考にして、字体を決めます。深く刻めることが問題なので、ペン字体や草書などをベースに考えます。また、画数の多い場合、接触圧が小さくなり巧く刻めない場合が出てきます。その為、平仮名や片仮名にする事も考えてください。文字のサイズは、竹に入れる場合4~6mmくらい、平らな木材なら6~8mmくらいが打ちやすいと思います。
焼印の工程
草書の線を細くした字体を選択しました。裏文字を方眼紙に書いて手本にします。
焼印を作るために必要な物 [焼印の作り方]
手作りの品には、銘を入れます。書いたり彫り込んだりでも良いのですが、焼印が使われていると、一段と見栄えがすると思います。その人の個性あふれる物なら、なおさらではないでしょうか。今回は、「How to 焼印」です。まず、必要な物です。
工具
回転バイス、向きを変えながら彫って行くため、通常のバイスでは、無理が有ります。但し、スムーズに向きを変えられる台を作れば問題はないと思います。
バイト各種(三目切り、舟形、切り出し)、組ヤスリの安い物を買って、ダイヤモンドヤスリで加工して作ります。三目切り、舟形、切り出し、の3種類で殆ど間に合いますが、出来れば、舟形の形を少し変えた物が、いくつかあると便利です。
ケガキ針、丸ヤスリを加工した物を使っています。線の強さをコントロールするには、堅い材質の針が必要です。
ダイヤモンドヤスリ、バイトを研ぐために使います。一個仕上げるのに何度も研ぎを入れるので良い物が欲しいところです。240番~400番ぐらいを用意します。
タガネ各種、金槌、細かな修正に使います。写真のように、彫金用のタガネをそろえる必要は、ありません。ステンレスの丸棒2mmを削って作った方が安上がりです。形に合わせて必要になるので、数が多いと便利です。金槌は小さな物でないと使いづらくなります。
ヤスリは細目と荒目の二種類があると楽に作業が進みます。細目ヤスリは、タガネを整える時にも使います。水研ぎペーパー、最初に印面を整える時に、掘り進んでいく途中に、必要です。800番を、化粧版などの平らなところに貼り付けて使います。
彫金用の糸鋸、ヤスリ、糸鋸は、焼き印の外枠を切る時に使います。ハンドルは安い物でかまいませんが、鋸刃はバローベが良く切れるのでお勧めです。種類が多くありますが3/0番から0番ぐらいが使いやすいでしょう。東急ハンズなどで手に入ります。ドリルとセンタポンチ、ハンダゴテと接合する時に必要です。ドリルの刃は、4mm一本有れば間に合います。
治具として、0.5~1.0mm厚のアルミ板をコの字型にしてインゴットのケースを作ります。インゴットより少し長めにします。これは、無いと困ります。
材料
真鍮インゴット、素材は真鍮を使います。「硬さが適当」で、「熱の伝導が良く」、「冷めにくい」、又、「値段も安い」というのが理由です。銅やアルミは柔らかすぎる為、些細なことで破損することがあります。軟鉄のインゴットは、彫りにくい上、錆びやすく以外ともろさを持っています。
ハンダゴテ、40wが適当です。小手先が4mmですので印側の穴あけも楽で、小さいサイズでも加工しやすくなります。温度上昇が遅いので、焼き印の温度管理もしやすいと思います。
確認用材、竹材、木材、色々と押してみた方が良いでしょう。竹にしろ、木にしろ、材料により、焼き上がりが違っています。ちょっとした端材で良いので、用意すると良いでしょう。
その他
トレース方眼紙、鉛筆、消しゴム、字体辞典、などが、要ります。
焼印を彫り始めるまで [焼印の作り方]
1.銘をデザインする
銘を決めるときには、候補をいくつか考えることが必要です。その銘で、すでに色々な物が製作されている場合があります。銘がバッティングしているのです。また、字体辞典などで字を調べ、実際にデザインをしてみると、良い感じにならない事があります。
何に打つかを考えて下さい。箱物や万力などは、字画を少なくして、太い線が生きるようにした方が映えます。竿などでは、穂持ちなどに打つことも考えたほうがいいでしょう。字画が多すぎると全体が丸焼け状態となるケースが増えます。少なすぎると貧弱な感じ見えることもあります。
デザインに不合理な部分が無いようにする事です。今回のデザインでは、一文銭がモチーフに成っていますので、楷書を選びました。「他の字体では、違和感が出る」と感じています。デザインに因って、色々と字体を変えてみると良いです。
2.裏文字の練習
銘やデザインが決まったら、トレース紙に清書をします。解りやすいように、一字を10mm角ぐらいで書くと良いと思います。次に、裏返して、裏文字を写し取って、それを清書をします。そして、この文字を練習します。30分から1時間ぐらい、丁寧に練習する事が必要です。彫り始めたら自分の中にある字のイメージが大事になります。清書した手本は、参照しますが、イメージがはっきりしていないと、巧く彫り進めるのに苦労します。
3.インゴットの下準備と下書き
作る焼き印のサイズに合わせてインゴットを購入して下さい。長い物をカットするときは、ケガキを一周させて入れ、糸鋸を回してカットすると良いと思います。カットされた素材は、彫る面を研いで平らにします。私は、細目ヤスリでならした後、化粧版に水研ぎペーパー800番を張って研いでいます。この作業は、ポイントになるので、丁寧にやる必要があります。
ケガキ針で中心線を入れます。この線を基に見当線を入れます。この見当線を参考にしてフリーハンドで裏文字を書いていきます。「ケガキを深くしない」、「二重に線を引かない」、「常に全体のバランスを見る」ということが大事です。特に、見当の線よりも、全体を見て、字のイメージを大切にする方が、巧くいくと思います。小さい物に線を引いているので見当線は信用し切れません。巧く行かなかったときは、印面をもう一度研ぎ直して、やり直します。完璧にすることは、必要有りませんが、バランスの崩れは、後で簡単に修正出来るという訳ではありません。