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焼印の製作依頼 [焼印の作り方]

 焼印に関するコメントは無かったのですが、製作の依頼は時々あります。その中の、様々な話で感じたことを中心に、「焼印をオーダーするとき、何を考えればよいのか?」を少し詳しく記します。
     

 どこに依頼するのか

 焼印を使うのは、饅頭などの食品、皮革製品、お土産になる民芸品、釣り道具など結構多く有ります。それぞれ、特徴があり、流用できないことも多いのです。特に、竹竿など、曲面に押す焼印は、特別な特徴をもっています。
    

製作を依頼するときには、ホームページなどで、どの様な焼印を作っている会社なのかを確認する必要があります。

     

 焼印のデザイン

 竹竿や竿掛け、万力など、釣り道具の焼印は、「「用途」、「サイズ」、「書体」、「文字のレイアウト」、「枠の形」の5項目を考えます。

       

 用途

万力やウキ箱、糸巻きなど平面に押す焼印と、竹竿などの曲面に押す焼印では、印の山の形状が違います。
     
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1は判子、2は平面に押す焼印、3は竹竿などに使う焼印、4は焼刻印の山の断面です。

     

竹の場合、滑らないように食い込ませ、ユックリ廻し、比較的低い温度で、時間をかけて押します。竹を廻したときに、焼印が滑ってはどうにもなりません。竹に食いつくように、山の天辺は尖がらせています。
     
 竹用の焼印は、サイズが小さいこと、食い込みやすいようにすることのため、デザイン上、色々な制約を受けます。この制約を中心に話を進めます。

     

 竹竿の焼印のサイズ

 竹竿に使う焼印は、横幅5mmが基本のサイズと考えています。これより大きいと回す距離が長くなり、失敗が多くなります。小さいと書体の特徴がわかりにくく面白くありません。「5mm枠、4mm文字」もしくは、「枠無し、5mm文字」どちらかを選択するのが良いと思います。
     

 竹のように丸いものに押すとき、横幅の2倍程度以上の直径が望まれます。小径になると廻す角度が大きくなり、失敗することが増えてきます。

竿掛けや万力用なら、もう少し自由にデザインを考えられます。
     

 書体

 一般的と言える書体は、明朝体、ゴシック体、楷書、行書、草書、隷書、篆書、彩雲体の8体でしょう。それぞれの書体は、デザイナーや書家がいろんなアレンジをします。そのため、数限りない書体が存在します。
     
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 二冊の虎の巻、左の本は力強い感じ、右の本(下の写真)は繊細な感じの書体が掲載されています。
     
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 篆書体は、細い線で組み立てられているため、非常に押しやすい焼印が出来ます。しかし、ほとんどの人には、何が書いてあるかさっぱりわかりません。文字に因っては、「解かるのは自分だけ」といった焼印になる場合があります。
     

 「剛」は解かりやすいけど、「豪」は解からないかもしれません。

 

 竹用の焼印は、サイズが小さく、線で囲まれた部分は、熱がこもります。白く抜けず丸焼き状態になる場合が多くなります。全体に線の太さを細くして、空白部分を増やすように考えます。

    

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 現在所有の焼印、左から2番目、4mmの角印は小さすぎて判りにくく、丸焼きになりやすい。ほとんど使っていません。
     
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右端の楷書は、オレンジの部分が丸焼き状態になり易いので、真ん中の行書や左端の草書を選ぶか、文字が大きくなるように枠無を選択すると良いでしょう。
     

 レイアウト

 文字の間隔をどの様にするか、配置を考えることです。間隔の取り方で雰囲気が変わります。
     

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 書体の縦と横のサイズ
 明朝、ゴシック、楷書、行書、草書、彩雲体は、縦対横が1対1です。篆書は、縦対横が1.5対1で縦長です。隷書は、縦対横が3対4くらいで横長です。文字がどのような枠に収まるかを知っておくとデザインが巧く運びます。
     
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 万力や箱物専用なら、隷書や篆書を選択するのも良いと思います。
     

枠の形

     
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 角型、丸型、菱型、正方形が良くある形です。
     
 枠無しの焼印

最近は、「枠無し」を選択する人が多くなりました。枠が無いと、文字の形で押しにくい場合が出てきます。
     

右ききの場合、右側から食い込ませて廻します。文字の右側は、直線になっていると押しやすくなります。突起がある書体を避けるか、枠を付けるか、押し難さを我慢するかになります。
     
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 南州は、非常に押しやすい焼印になります。篤姫は、上が狭く下が広い形、錯覚が起こりやすく斜めに押してしまいやすい。海舟は、右端が凸凹で、横棒部分から押し始めます。慣れないと、失敗が多くなります。
     
     P7050035.jpg
     

右の楷書は東のハライ部分が出っ張っています。左の草書は、一直線になっています。また、楷書の東は真ん中部分が丸焼きを生じやすい。草書のほうが、押しやすい焼印になります。

    

 

暇人工房へ製作を依頼すると?
     

メールで、銘、サイズ、書体、レイアウトなどを指定していただきます。
     

希望に従い、紙に書いたデザインサンプルの写真を送ります。これが手本になります。
     

デザインお任せの場合、大まかなイメージをお聞きします。それに従い、いくつかのデザインサンプルの写真を送るので、これを参考に決めていただきます。
     

手本が決まらない限り、製作には入りません。納得いくまで細かな注文を付けてください。
     

製作に入り、完成すると、試印、焼印の全体像、印面などの写真を送ります。
     

納得できれば、送料着払いで発送します。
     

最低でも十数回は試印をするので、焼け焦げた焼印が送られてきます。
     

通常(竹の油が少しこびりついた状態)の使用で、きれいな印象が出ることを確認しています。クリーニングはしますが、ピカピカの焼印にはなりません。
     
 料金は?
     

基本的な物(3文字まで)の場合、焼印のみ9千円、ハンダゴテ付1万円です。


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コメント 2

吉原君佳

焼印を作るにはどのようにすれば良いかあれこれ尋ねたり 調べていてこのページに出会いました。細かい画かロゴになるので自分で押せるかしらと思っています。焼印の事をまったく知らなかったのだけどおおむねの事がわかり 助かりました。ありがとうございました。
PS:直接 焼印も作られていますか?
by 吉原君佳 (2012-02-06 05:41) 

himajim

メールにて、製作依頼に応じています。
アドレスはプロフィール欄にあります。
by himajim (2012-02-06 16:35) 

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