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「塗り」の手法 [釣り具の製作]

 仕上げ
 仕上げ方法は、「漆の塗り仕上げ」、「ウレタンの塗り仕上げ」、「漆の拭き込み仕上げ」の3パターンから、選んでいます。

 特徴
 漆の塗り仕上げは、落ち着いた艶があり、上品な仕上がりになります。長持ちさせるには、まめに、メンテナンスをする必要が有ります。

 ウレタンの塗り仕上げは、丁寧に扱っていれば、長く、メンテナンスフリーで使えます。しかし、剥離や、変色が始まると、全体を剥がして、塗り直すなど、大変です。

 漆の拭き込み仕上げは、長持ちしませんが、メンテナンスが、非常に楽です。多くの場合、洗浄して、表面を軽く荒らし、漆を拭き直せば、新品に戻ります。

 使い分け
 竿掛けは、ウレタンの塗り仕上げが多く、自分で面倒を見るものに限り、漆の塗り仕上げにしています。

 万力などで、「紫檀」や、「黒檀」など、硬く、塗料の浸透し難い材料は、ウレタンが、剥離し易くなります。この様な材料は、漆の拭き込みです。拭き込むほどに、味も出て来ます。

 杜松などの柔らかい木材は、木固めエースを浸透させてから、漆の拭き込みをしています。

 以前、杜松などは、ウレタンの塗り仕上げでしたが、何かにぶつけたり、擦ったりすると、長持ちしないので、最近は、採用が減りました。

 美しく、仕上げる鍵は、塗料の塗り方、私の手法を紹介します。

 塗料

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 2液ウレタンは、粘着性が高く、竹や金属などにも、塗れます。多くの材料に使え、以前と違い、変色も無くなりました。

 ウレタンは、開封すると、変質しやすくなります。使いかけは、光を遮断して、保管すると、長持ちします。

 木固めエースは、高浸透性ウレタンです。浸みこむものには、便利な反面、粘着性が低いので、竹や金属、硬木などでは、簡単に、剥離が起こるので、注意が必要です。

 通常のウレタンと違い、乾燥過程で、ベトベトの時間が長いので、接着剤として、使う事が出来ます。

 漆は、チューブに入った物で、漆樹脂塗料です。手軽に使えますが、使い方を誤ると、残念な、仕上がりになります。とにかく薄く塗り、時間を掛けて乾燥させ、仕上げまで、しっかり、待ち時間を取ることです。

 筆選び

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 筆は、根元部分(オレンジ部分)に、塗料が溜まり、筆先にスムーズに流れる事で、広い面積に塗ることが出来ます。この部分が乾いて、状態が悪くなると、巧く塗れなくなります。こまめに、筆洗して、良い状態を保つことが、塗りのコツです。

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 獣毛(山羊や馬など)は、小さな縮れがある為、多くの塗料を、溜めることが出来ます。1回の塗膜が厚い、ウレタン塗料に向いています。容量が増えるので、毛足の長い物を選んでいます。

 樹脂毛の筆は、毛の隙間が小さい為、塗料を含む、容量が小さくなります。薄く塗る、漆で使います。毛足が短い方が、筆圧の、調節が効くので、腰の強い、短い毛足の物を選んでいます。

 筆使い
 獣毛は、水に漬けて、毛を伸ばし、布で拭って、乾燥させます。湿り気はあるが、水は、着いていない状態にしてから、使うようにしています。

 どの筆も、最初は、薄め液に入れ、布で、軽く拭います。筆の、空気が抜け、素材に、気泡が、付着し難くくなります。

 ウレタン塗料
 2液ウレタンは、1回目を、薄く塗り、触手乾燥(30分~1時間)させます。2回目は、少し厚めに塗ります。

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 1回目は、素材と、ウレタンを密着させ、2回目は、表面張力を、効かせ、均一に塗ります。1回目は、少し筆圧を掛け、2回目は、フェザータッチです。筆の角度は、30度~40度くらいで、塗っています。

 1回目は、ムラより、塗り残しに、2回目は、手早くこなし、ムラを出さないことに、気を付けます。

 竿掛けは、一節ごとに筆洗、万力の場合、弓や、バイス部分は、表を塗って筆洗、裏を塗って筆洗です。

 常に、筆の状態を、良好にして、乾燥が、始まる前に、塗り終える。筆は、速く動かすのでなく、無駄のない動きに徹します。

 使用する筆は、大きめを使います。4~5回で、一通り塗れるのが、目安です。竿掛けなら、14号位になります。

 木固めエースの場合、筆は、塗料を運ぶキャリアーの働きをします。使い古しを使います。浮いて来るまで塗り、余分をふき取ります。布は、ポリエステルの靴下、毛が、付着し難く、重宝しています。

 漆塗り
 漆に対し、5割程度の、薄め液を入れます。筆は、30度くらいで、少し強めの筆圧、手早く引き伸ばします。薄く塗ると、2~3日で、乾燥し、重ね塗りが出来ます。指で触らなければ、荒らす必要なく、重ね塗りが出来ます。

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 ムラが出来るのは、塗りが厚いから、薄く、引き伸ばせていないのです。気泡も同様です。

 1回で、塗る範囲や、筆洗のタイミングは、ウレタンと同様です。2度塗りになると、ムラになるので、乾き始めるまでに、予定の範囲を、塗り終えます。

 大きすぎる筆は、思わぬところに、漆が付き、ムラを作ります。小さめの筆をチョイスしています。

 漆拭き込み
 漆に対し、1割以内の、薄め液を入れ、少し柔らかくします。筆の腹で、半ば強引に、力を入れて、引き伸ばし、刷り込むように、塗ります。

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 筆は、何度か使い、根元に、塗料が固まった筆、はみ出した毛を、ハサミやカッターで処理して使っています。

 ローテーション
 新品の筆は、仕上げ塗りで、2~3回、色塗りで、2~3回、その後、拭き込みで使い、木固めエースとなります。

 完成!竿掛けセット
 万力のメンテナンスで、今回の竿掛けに、合うように、竿枕を、作り直しました。万力は、大型で、長竿に向いています。

 後ろのネジで、角度を固定する為、使用中に、竿掛けが動きません。青龍、朱雀、白虎、玄武、四神の彫刻万力です。

 角度調節の、範囲を広げるため、長短、2本の、真鍮棒を作りました。後ろネジを外し、取り替えられます。

 青龍セット
 万力の素材は、花梨です。

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 1本半専用、カーボンに竹外装の竿掛けで、今回、長鞘を付けました。

 全長155cm、仕舞寸法116cm、紋竹様の総塗り、篭目編み込みです。15尺~21尺まで、ハードな調子です。

 朱雀セット
 万力の素材は、不明です。忘れてしまいました。欅に近い硬さです。

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 2本専用、全長186cm、仕舞寸法103cm、互菱編、乾漆の装飾です。15尺~18尺がベストで、柔らかい先調子です。軽量なら、21尺までいけます。

 白虎セット
 万力の素材は、欅です。

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 2本専用、全長205cm、仕舞寸法112cm、篭目編み、乾漆、白漆の竿掛けです。18尺前後がベストで、21尺も、充分です。標準的な、先調子です。

 玄武セット
 万力の素材は、ウェンジュです。尾を、蛇にしたデザインです。

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 2本専用、全長203cm、仕舞寸法113cm、鮫皮巻です。15尺~18尺がベストで、21尺も可です。柔らか目の、先調子です。

 杜松、デザイン万力セット

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 杜松のデザイン万力に、1本半、1本兼用の竿掛けです。装飾は、藤巻に、大理石様乾漆です。

 竿掛けは、7尺~13尺くらいまで、使えます。1本では、先調子、1本半では、全体の曲がる、パラボリック調子で、やや硬めです。

 販売
 5つのセットは、釣り具倉庫101にて、完全委託で、販売します。興味のある方は、どうぞ!


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コメント 2

宮本 智幸

こんばんは。お世話になります。現在、竿掛けに2液性ウレタンが塗ってありますが、薬剤等で剥離する方法はありますか?ありましたらご教授願います。よろしくお願いいたします。
by 宮本 智幸 (2017-10-15 20:28) 

himajim

中島の、ウレタン塗料薄め液が、最も期待できます。しかし、下地を傷める恐れがあります。
by himajim (2017-10-16 17:19) 

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