竿掛けの装飾 [釣り具の製作]
夏の酷暑で遅れていた、竿掛けの製作も、完成が近づいてきました。装飾は、鮫皮巻、篭目編み、互菱編みと、マーブルカラーです。
鮫皮巻
鮫皮巻は、浅く研ぎ、水玉文様にする場合と、ぎりぎりまで深く研ぎ、網目文様にする場合があります。今回は、上、網目文様にしました。
鮫皮は、貼り付ける前に、皮の側を削ります。柔らかくなり、扱いやすくなるとともに、水に対しても、少しだけ強くなります。
両側に巻く藤は、超極細、高さを合わせる為、新聞紙を巻きました。
継ぎ目の部分は、悪く目立つことが無い様に、星(石の様な部分)を移植しています。
鮫側に紺色(合成漆)を塗り、研ぎを入れ、ウレタン塗料で、仮仕上げをしてから、藤を巻きました。
編み込み
篭目編みや、互菱編みは、様々な表情を見せられます。
一番上は、釣り糸を巻いて、藤を竹に密着させて、漆(本透明)を塗り、接着します。その後、着色しました。
二番目は、漆を使い、3回で乾漆を入れる、標準的な手法です。乾燥には、1月ほどかかっています。
下二つは、今回の物です。木固めエースを使って、乾漆を入れています。1週間で、作業が完了します。
篭目編み
両端を、木屑漆で埋め、成形しました。糸で巻くように、調整しています。
今回、乾漆を、木固めエース(ウレタン塗料)で、固着させることにしました。通常のウレタン塗料は、表面が速く乾き、扱いにくいうえ、混合してから、2時間以内という、時間制限が有ります。
木固めエースは、ベタベタの状態が長く、乾漆や、木屑など、細粒の接着が出来ます。しかし、扱いやすい時間は、1時間程度で、漆より短い為、手早く、やり遂げる必要があります。
定着に、木固めエースを使用する手法、複雑な物は、何回かに分ける方が、巧く行きます。
乾漆に、ひたひたになる程度、木固めエースを入れます。30分くらい待ち、浸透させます。
ボソボソの状態で載せ、30分から1時間くらい待ちます。ベタベタになり、竹べらが使い易くなってきます。
溶剤にパンストの切れ端を入れ、竹べらを拭いながら、作業を進めます。
2日で、完全硬化しますが、固定が不十分です。2液ウレタンを浸み込ませ、完全に固定します。
2日後には、ルーターが使えます。今回は、乾漆部分を窪ませ、藤を浮き上がらせています。
漆を塗って、仮仕上げをしてから、糸を巻き、白漆を塗って、仕上げました。
互菱編み
木屑漆で、目止めをし、「本朱」で着色します。吉野紙を、乾く前に、ポンチで抜いて、貼り付けました。木固めエースは、浸透し、くさび効果で、接着力が発揮されるからです。
藤を研ぎ、本透明を塗り、乾燥後に、乾漆を入れました。2液ウレタンで、完全に固定した後、彫刻刀で削り、成形しています。
研いだ場合、朱の顔料で、乾漆が汚れます。
1本半、マーブルカラー
木屑(木粉)は、発色の良い、SPF材です。大きめの容器に、木粉と木固めエースを入れ、少し待ちます。
木粉がウレタンを吸って、減っていくので、足して、ヒタヒタ程度にします。30分程度待ち、3つに分け、顔料を入れました。グリーンと白、割合を変えて入れました。
顔料を混ぜて、30分くらいしたら、ボソボソノ状態で、載せていきます。軽く押さえて、形を整えてしばらく待ちます。
ベタベタになり、扱いやすくなったら、竹べらを使い成形します。
2日で完全硬化しますが、脆いので、2液ウレタンを浸み込ませ、完全に固めます。
金属用のヤスリと、サンドペーパーで磨き、2液ウレタン塗料で仕上げます。この後、藤に着色し、仕上げ塗りをして、完成になります。
尚、今回から、「至誠」の焼印を使いました。
乾漆や、木屑漆は、仕上げ塗りをしたときに、浮いてしまう失敗をする人が多い様です。その多くは、使用する漆の濃度が濃い、あるいは、乾燥時間が不十分で、芯まで、乾いていないことが原因です。
木固めエースを使うと、その様な失敗が無くなります。しかし、成形作業の時間が短くなる為、完成度を上げるのが難しくなります。その為、2~3回のタッチアップで、修正をしています。
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