SSブログ

萱ウキの製作 1 [萱ウキの作り方]

 萱とは、何?
 カヤは、「茅」や「萱」と書かれます。茅はススキの別名で、「萱」はヨシやチガヤなど、イネ科植物の総称として用いられます。ヘラウキの材料となるのは、オギ(荻)とススキ(薄)です。
 ススキは株になっており、その株が大きく育つには10年くらい掛かるようです。オギは水際に多く自生し、地下茎で増え、並んで一本立ちしています。
 ススキもオギも、何種類かあり、中綿が形成されない、内部が空になっているものがあります。この様な物は、弱く使えないことが多いようです。
     
     P8240044.jpg
    高速道路の土手に生えるススキ、手前はオギの群落
     
     P8100002.jpg
     P8100003.jpg
    ホームグラウンド、風越池の傍らに生えているオギ
    
 ご近所の萱
 
萱ウキを取り上げるにあたり、名古屋市の北東から小牧方面の萱を見て回りました。狙い目は、宅地などの造成工事が済んで、ある程度の時間が経過しているところです。
 
ススキは細くて使えないものが多かったのですが、オギは使えそうなものも見つかりました。採取するには季節外れですが、萱は腐りにくいため、サンプルくらいは採取することができました。
      
     P8240040.jpg    

       P8240041.jpg
       P8240042.jpg
    これは秋の七草の一つ「藤袴」、萱の採取に行ったとき、庄内川の堤防に咲いていた。
     
 ススキやオギをネットで調べると、南国では常緑性となって、5m以上になるものがあると書かれています。大きく育つススキは強度がないと倒伏してしまいます。その様なススキは、頑丈で重い素材となります。もちろんオギの生育も、環境の違いで大きく変わります。
    
 
萱の密度(重量/体積)
 
今回、釣具店で入手したもの(上4本)は、皮の部分が剥かれており、値段を考えると茅は中国産のように思います。(下のバラ)は、近所で見つけた萱で、太いものを探すのに苦労しました。穂の部分は、最大の太さで、4mmほどしかありません。そこで、楕円になっている、花穂の下の部分(採取品A)も調べました。
    
     P8150010.jpg
     P8150004.jpg
     
   P8150028.jpg
 縦横としているのは、断面が楕円になっているためです。
 
楕円の面積 S=πab(a=縦の半径、b=横の半径) バルサは、角材です。
     
 
左側、採取した国産の萱(採取品B)は、中綿がきめ細かく、外部組織が薄くなっています。右の中国産(市販品B)?は、皮が剥かれていても外部組織が厚く、中綿もきめが粗く太い繊維が混じっています。
     
     P8150018.jpg
     
 萱は、採取された場所により、環境や種類が違います。やわらかく軽い中綿と硬く重い外部組織の、割合や質が違っています。これが重さ(密度)の違いになります。
     
 
羽の密度
 
選別された羽は、個体間の差はほとんど無く、部分の違いも0.12~0.15g/cm³となっています。写真の羽は、付け根から15cmくらいの部分で、長径6.6mm、短径6.0mm、長さ70.5mm、重量は、0.325gです。密度を計算すると、0.148g/cm³です。
     
     P8230038.jpg
   P8150032.jpg
 
絞ることで外皮の割合が増し、0.17~0.22g/cm³くらいになります。
     
 市販品Aは、絞ってヘラウキの形状にしました。体積は3.352cm³、重量は0.781g、密度を計算すると、0.233g/cm³です。
     
     P8230035.jpg
     
 茅ウキは、羽ウキと同様、絞って作ります。外組織の割合が増えます。接着してヘラウキにした場合、5割くらい重くなります。サンプルも1.5倍くらいの重量になっています。
     
 
市販品Bでヘラウキを作った場合、萱の部分の密度は、0.45g/cm³となるでしょう。杉が0.5g/cm³くらいなので、大差ない重さとなります。
     
 
Bodyが重くなるため、出来上がるヘラウキの比重も大きくなります。
     
 
比重と動き
 
バランス(軌跡)は、ヘラウキの動きの要素、「方向転換」、「移動」、「立ち上がり」が、どの程度容易であるか、スムーズであるかで変化します。比重は、移動の動きに関係します。
 
水槽実験の結果を見ると、ヘラウキの動きは、比重が大きくなるに連れて、動き方がFタイプからSタイプへ、立ち上がりのタイミング(立つときの水面と道糸の角度)が早く(小さく)なることが解かります。
     
 
萱でウキを作った場合、最軽量の物でも、羽よりは重くなります。重たい茅を使うと、かなりの差が出てしまいます。
 
設計表の数値から想像すると、以下のことが言えそうです。
     
 
重い萱(市販品Bなど)
 
Bodyは羽の二倍以上も重いので、比重は小さくなりません。
 
実質浮力は小さくなるため、適正なTop長は短くなります。
 
立ち上げる余力が小さいため、重いTopは付けられません。
 
方向転換の動きに大きな影響はなさそうですが、移動の動きは、鈍くなります。
 
早いタイミングで立ち上がるため、なじみ動作は長く遅くなります。
 
Fタイプの動き方をさせることは、出来ません。
    
 
軽い萱
 
Bodyの形状や塗り方を工夫すれば、羽ウキに近い比重に出来ます。Fタイプの動きをするウキも、問題なく作ることが可能です。但し、小さなサイズは、無理があるようです。
     
 重いヘラウキ
 比重の大きなヘラウキ、重いヘラウキは、悪いヘラウキではありません。なじむ距離が長く、遅いなじみ動作をするヘラウキは、魚が薄い釣り場や、食い渋りの時など、重宝する場面は多いのです。
     
     P8160033.jpg
     
 
羽ウキは、Topと足重量の増加で重くなっています。ゆっくりした動きを演出するために、意図的に重くしたヘラウキです。
     
 
軽い素材は、作り手の意図で、どの様にもできます。しかし、重い素材は、ワンパターンのヘラウキしかできません。これが問題です。
     
 萱ウキ製作の第一歩
     
 
羽と同様、素材の選別が最初の仕事です。
     
 萱は、育った環境で大きな差がでるため、外観だけでなく、密度を計ることが重要です。
     
 軽い萱のサイズを揃えるには、色々なところから入手することが必要です。昔からの釣具店を見て回ったり、あちこちで採取したりすることです。
     
 
次回、理想的な材料を使う前提で設計表を作ります。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。