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萱ウキの製作 2 [萱ウキの作り方]

 ヘラウキを軽くする 
 萱ウキは、重くなりやすいため、軽量化を考える必要があります。どの様なデザインをすれば良いのか、直線型と流線型を比べます。この二本は、同じ萱の隣り合った部分で作りました。
     
     
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 そのデーターが下の表です。カットした部分の多い流線型は、直線型より軽くなるはずですが、僅かに流線型が重くなりました。素材の皮の剥き方に問題があったのか、もしくは、接着剤に問題があったのかです。
     
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 萱ウキの接着剤

AとBは、同じ萱です。切断した両側を絞ります。Aは木工ボンド、Bはエポキシ接着剤を使いました。

     
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 36時間後に、丁寧に萱の部分を取り除き、接着剤の状態を観察しました。Topの色、黒がエポキシ、赤が木工ボンドです。
     
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 木工ボンド

 ボンドが浸み込んだ表面に近い部分は、非常に堅くなっています。中心部分は、固まりきらず柔らかな状態でした。PCのパイプは、表面を荒らして接着しましたが、一部分が簡単に剥離してしまいました。
     
 内部構造を作る膜は、非常に薄いのですが、外側に近い部分は堅く丈夫でした。中心部分は、完全な硬化ができていないため、弱くなっています。

    
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 エポキシ接着剤

 羽ウキのときは、均一な薄い膜になっていました。しかし、萱の場合はところどころに塊が出来ています。
      
     
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 先の実験では、エポキシ接着剤を使っていました。流線型の重量が重くなった原因は、接着剤の塊であるようです。直線型に比べ、接着面積が大きいため、所々に出来る塊の総量が増えたのです。
 萱では、接着面積が大きいと重くなりやすい欠点が出てくるようです。
     
 内部構造の実験

 内部構造の状態は、どの様な影響が考えられるのか、実験しました。

     
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 発泡スチロールに、三つの方法で、1.0mm径、15cm長のグラスソリッドを、20mmの深さで取り付けました。Aは単に穴を開けて接着、Bは十字の切れ目を7mmの深さまで、Cは15mmの深さまで入れています。使用した接着剤はエポキシ系で、判りやすいように顔料を加えています。
     
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 固まったところで、発泡スチロールの部分を持ち、ソリッド部分を、スナップを効かせて机に打ちつけます。
     
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Aは10回持たずに破損したので終了。BとCは20回ずつ行いました。実験後、BとCに表面上の目立った変化は有りませんでした。しかし、ソリッドに沿ってカットしたところ、Bは紫の部分が破損していました。
     

発泡スチロールと萱の内部は、同じではありませんが、よく似た性質があります。実験結果を参考に萱ウキの形を考えます。
     

整理

木工ボンドは、ヘラウキの軽量化には良いものです。しかし、中心部分の硬化が十分で無い場合があり、手放しで推奨できるものではありません。使い方を工夫しなければなりません。
     

エポキシ接着剤は、萱の中綿が荒いため、羽の場合と違い接着膜が厚く、塊が出来やすくなります。ヘラウキは重くなりやすいが、内部構造は強固に出来ます。
     

ヘラウキには合わせの際、大きな衝撃が加わります。それなりの強度が必要で、内部構造は重要な問題です。割り込みの長さはある程度必要だということです。
     

ヘラウキの動きをスムーズにするためには、浮力の中心が標準的な位置に来るようにすべきです。軽量化を求めても、極端な形状は採用しません。
     

結論

Body形状は直線型で、接着面積が小さくなるように絞りの長さを短めにします。また、割り込みの数も多く成らない様に考えます。
     

Top側の絞りは直径の2倍、足側の絞りは萱長の3~4割くらいとします。
     

基本的に、接着剤はエポキシを採用することにします。
     

Topの材料は羽と変わりませんが、足は萱と相性の良い竹を選択します。
     

足の材料

竹ヒゴは真竹の二枚合わせ、強度が高いため細くすることが可能です。また、水より少し重いので、水面で足が少し下がり、立ち上がりの動きもスムーズになります。また、経年変化で曲がるといったことも少なくなります。

     
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 割り竹に火を入れ、真っ直ぐに伸ばします。
     
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ヤスリと小刀を使い、接着面を平らにします。

     
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 エポキシ接着剤で貼り合わせ、ミシン糸で固定します。
     
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小刀で削った後、ペーパーを掛けて、2mm径に仕上げます。
     

 設計表

 設計表は、大きく変わります。浮力の計算は、採寸と絞りの長さ、形状から直接計算します。Topなどは、羽ウキの最新データーを参考に、浮力を基に計算します。その他、項目も一部変更しています。
     

 萱 細パイプ 竹足

 成型データー
     
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 A3は「萱長」で、A4は直接入力します。
     

B3は「A」で、Top側の絞りの長さです。B4は「=2*H4」です。
     

 C3は「A浮力」で、絞りの部分の浮力です。C4は「=B4*H4*0.785*0.33/1000」です。

 式の中の「0.785」は、π/4の近似値です。「0.33」は係数、「/1000」はmmɡで出た数値を、ɡ単位に変換したためです。
     

 D3は「B」で、真ん中の絞らない部分の長さです。D4は「=A4-B4-F4」です。
     

 E3は「B浮力」で、真ん中部分の浮力です。E4は「=H4*H4*0.785/1000」です。
     

 F3は「C」で足側の絞りの長さです。F4は「(A4-B4*0.67)*0.5」で、みなし長の5割を意味します。浮心の位置が大きく外れないようにしたためです。
     

 G3は「C浮力」で、絞りの部分の浮力です。G4は「=(H4*H4+H4*2+4)*0.785*F4*0.35/1000」です。
 ()部分は、竹足を選択したためで、取り付け部分は2mmの径です。「0.35」は係数です。
     

 H3は「萱直径」で、H4は直接入力です。この数値が直径のため、全体の数式がややこしくなっています。
     

 I3は「萱浮力」で、I4は「=C4+E4+G4」です。
     

 J3は「錘重量」で、J4は「=H34」です。一覧できるように転記した意味です。
     

 萱の成型をスムーズに進めるため、専用工具を作ります。
     

型紙の製作

カットの精度を上げるため、汎用性のある型紙を作りました。
        

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     P9090073.jpg
     
 足側の型紙は、5mm単位で作りました。膨らみを持たせた絞りになります。浮力の計算式も、この型紙でできる形であることが前提になっています。
     

曲げ型の製作

萱は、火を入れて絞ります。羽はたんぱく質なので高温に弱いのですが、萱はセルロースとリグニン(樹脂成分)、竹などと基本的には変わりません。火を入れて柔らかくしたほうが、繊維が壊れません。
     
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ハンダゴテに取り付けられる曲げ型を作りました。40Wの場合、取り付ける丸棒は4mmです。
     

隣に写っているのは、切削加工した工具です。前に紹介した、竹竿の中を削る木の葉錐と同じ内容です。2.5mmのした穴を開けた後、使いました。真鍮は、比較的、簡単に削ることが出来ます。

カットと、型を、一致させるデーターは、無いので、多く作って、対応します。
     

「次回に続く」です。


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コメント 1

井上 茂

萱の成型をスムーズに進めるための専用工具
ハンダゴテに取り付けられる曲げ型
の2点は、詳細はどこで確認できますでしょうか
by 井上 茂 (2018-01-19 19:37) 

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