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川鵜の話 [妄想釣人]

 歴史

 川鵜は、1970年頃、絶滅の危機で、3千羽程度まで減少していました。水質汚染で、魚が減り、少ない魚も、汚濁が酷く、巧く獲れません。公害が、原因でした。

 

 1990年頃から、川鵜は、数を増やし始め、現在は、15万羽以上になっています。水質の改善で、魚が増えた上に、護岸工事や、葭原の埋め立てで、魚の逃げ場が減ったことが、増加を後押ししました。

  

 増えるとともに、食害が問題になり、2007年狩猟対象になりました。

 

 スペック

 平均的なサイズは、体長85cm、翼間長145cm、体重1.8kgです。

     

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 寿命は10年~15年、自然状態最長寿23.5年です。

 飛行速度は、60km/h、最大移動距離90km、餌場移動50km以内です。

     

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 最大潜航深度は、37m、平均潜航時間40秒くらい、最長潜航時間72秒です。

 泳ぐ速度は、通常2.5m/s、最大速度4.5~4.8m/sです。

     

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 特徴

 羽毛は、親水性が高く、着水と同時に浸み込みます。また、体脂肪が少なく、比重が大きくなっています。潜水能力に、非常に優れた体に、進化しています。

 浮いている鵜は、首と、背の一部分が、水面上に出るだけです。

     

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 反面、鵜の体は、保温力が低くなりました。体温維持に、多くのエネルギーが必要になりました。夏季は、体重のⅠ/4、冬季は、体重の1/3の、餌が要になりました。


 池に入るのは、11月下旬くらいから、3月上旬くらい、100~120日飛来します。1日600gの餌を捕るので、1羽当り、60kgの食害が発生します。

  

 飛来数を調べると、食害の総量が判ります。翌年、釣果や、魚齢の変化を調べると、池の、現状把握が出来ます。

 

 行動時間は、日の出1~2時間前から、日の入り後1~2時間が、標準です。市街地近くの池は、夜でも明るい為、状況に因り、深夜や、未明早くにも、行動する場合があります。

   

 ヘラブナ、アレコレ!

 ヘラブナは、通称で、種としては、源五郎鮒です。真鮒も、金鮒と、銀鮒の総称です。

  

 江戸時代、源五郎鮒は、東海道大津宿の名物でした。歌川広重の、東海道五十三次(行書版)にも、看板が、大きく、描かれています。食用として、珍重されていました。

  

 自然のヘラブナは、1年で、90~100g、体重が増えます。鯉や真鮒は、その半分です。ヘラブナは、消化管が、体長の5~7倍と、非常に長く、効率よく栄養を取れるからです。

 尚、養殖魚は、栄養管理が行き届いている為、2年で、出荷サイズ(7~8寸)まで育ちます。

  

 ヘラブナの、背の高いスタイルは、進化の過程で、大きくなった、消化管を収める為、泳ぐ筋肉が、背の側に、移動したという、説があります。

  

 ヘラブナの泳ぐ速度、真鮒と同程度と考えると、5~6倍体長/秒です。小さい程、数値が、上がる傾向があります。これを踏まえて計算すると、当歳魚で1.0m/s、2歳魚で1.3m/s、3歳魚で1.6m/sとなります。


 川鵜は、餌となるサイズの、ヘラブナに対して、圧倒的大差の、運動能力があります。ヘラブナが、助かるのは、オダなどに、逃げ込めた場合だけの様です。

  

 ヘラブナは、中層を、回遊する魚で、オダに入る習性は、後で身に付くものです。当歳魚の間に、慣れないと、狭い障害物に、入ってくれません。


 養殖魚は、避けたり、引き返したり、鵜に追われても、入らないことが多い様です。

 

 鵜の増えた現在、池を取り巻く現状は、大きく変わりました。簡単に捕食できる、養殖魚を放すと、数多くの鵜が入り、入れるより多く獲られます。

  

 ローカル

 愛知県の川鵜は、現在、1万1千羽くらいです2000年頃までは、多くのネグラや、コロニーに分散していました。近年は、弥冨野鳥園など、条件の良い場所に、集中してきました。

 

 名古屋市北東部では、森林公園のネグラに、500~800羽が、集中しています。


 森林公園の川鵜、冬季は、数多くの池が、餌場になります。何の情報も無く、自由に餌場に入ると、大混乱が起こる筈です。しかし、その様なことは、起きていません。大きな群れが、統制の取れた、行動をしています。

  

 餌が多く、捕り易い池には、数多く入りますが、とんでもない数ではありません。餌が少なく、捕り難い池にも、必ずと言っていい程、1羽か2羽、入っています。そして、餌場の変化(放流など)に、迅速に反応します。

  

 10年以上前から、鵜の飛来数を、時々、調べています。日変化は、小さく、年変化は、餌量に従い、巧く変化しています。

  

 川鵜は、毎年、餌場を調べ、見積もり、情報を共有して、割り当てを決めます。その漁業協定を、誠実に守り、不測の事態には、柔軟に対応しているようです。

 

 観察

 川鵜は、池に入ると、葭原や、倒木などのオダ、ゴミの多い場所などに行き、魚を追い出します。その後、餌の、捕り易い場所に、誘導し、襲っています。


 集団の狩りは、円弧の隊列で、護岸や、ワンドに追い込み、捕獲します。

     

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 鵜の数が、更に多い時、3段構えの、狩りを目撃しました。1列目が群れを蹴散らし、2列目が襲います。そこから逃れた魚は、3段目が、追い返します。食事を終えた、鵜が離脱し、入れ替わり、次々に飲み込んでいました。

     

 魚を咥える位置は、後ろ半身で、腹側からです。魚が曲がった時、ショートカットする。魚の後ろ下に入り、上に向かって襲う。この様に、考えられます。

  

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 池の中で、鵜が、魚を捕まえる場所は、護岸の近く、障害物の無いワンドの奥の他、水深が1.5~2mで、平坦な場所も、多く目撃しています。


 鵜の体長は、85cmくらい、適当な水深ならば、魚の下に入り、水底を蹴ると、目の前に獲物となります。

  

 更にローカル

 風越池は、半分以上が、護岸になっています。釣り場は、追い込み漁に、都合の良い、ワンドになっています。


 葭原は、ミシシッピアカミミガメによって、後退させられ、無いも同然です。倒木などの、隠れるオダは、狭く、簡単に、追い出しが出来ます。ほとんど役に立ちません。


 池の水深は、広範囲が、1.5m~2mと、捕食し易い深さで、障害物もない、平坦地です。

 

 最寄りの、鵜のネグラは、森林公園、1.5kmという近さ、3分以内に到着です。

  

 鵜にとって最良、ヘラブナにとって最悪な池です。

  

 現状

 薬害で、親と、当歳魚しか、居なくなっています。鵜の飛来数は、一昨年8羽、去年は、自主放流があり12~13羽です。今年、2~3歳のヘラブナは、見ていないので、綺麗に完食されたようです。

 

 鵜の飛来数などから、ヘラブナの当歳魚は、300~350kgで、ブログを書き始めた頃に比べ、半分ほどです。親魚も、半分ほどに、減ってしまったようです。

 

 再生

 現在の当歳魚の数は、鵜に喰われず、3歳まで育てば、1.5t以上になります。食害対策が、成功すれば、十分、回復軌道に乗せられます。

 当歳魚が、親になり、産卵数が増えてくると、回復が加速します。順調ならば、10年くらいで、以前に近い状態に、戻るかもしれません。

  

 葭原

 理想的な葭原は、間口が広く、奥に行くに従い狭くなり、十分な広さ、深さが有る事です。ここ、本地ヶ原新池は、この辺りで、最も理想に近い葭原です。

     

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 有効なオダは、入り易く、十分な広さがあり、適切な場所に、設置されている事です。

   

 次回は、オダを考えます。

 

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