藤編みの小箱 4 特殊な藤編み [木工]
白葛の編み箱
去年の正倉院展で、公開された御物に、白葛の編み箱があります。これを見て、市松模様を描くのに、最適と思いました。編み方は、不明なので、自分なりに、市松模様が、浮かび上がるように、編み方を考えました。
編み込みで、藤の動きは、和裁の本返し縫いと、同じようにすすめます。少し違うのは、右に進むたび、1段ずつ、上がることと、裏側で、1回、反時計回りに、捻ることです。
天板の編み込み
編み初めは、裏から見て、右下からです。最初は、1目で終わりなので、反時計回りに巻いて、接着するだけです。藤は、水を含ませ、癖付けをすると、スムーズに進みます。
藤色を換えて、2本目の竹、下段右側から、表側に、接着し、巻いて裏側に出します。1回反時計回りに捻り、端の竹に、巻き付けて接着、2本目終了です。
4mm真鍮丸棒を、曲げて、切れ込みを、入れたものが、藤を捻る工具です。狙ったところを、捻ることが出来ます。
かぎ針で、藤を、シゴク様にして丸め、細くします。この作業を、丁寧に行うと、表の、2倍数の藤が、巧く収まってくれます。
試作品で、捻った部分を、様々な道具を使い、重ねたり、細くして並べたりしました。結果、かぎ針と、先を曲げた、捻り棒を使い、長く細くすることが、巧く収めるコツと判りました。
編み込みが、半分くらい進んだ時、天板の枠が、歪んでいるのに気が付きました。藤が乾燥するとき、縮むことが、原因です。ベニヤ板にはめ込み、歪まない様にしました。
編み終わって、乾燥後、組み付け治具に入れ、軽く、金槌でたたき、歪抜きをしました。完璧には、治りませんでしたが、組み立てに、支障が出ない様になりました。
側面の編み込み
編み初めは、辺の、中央付近です。0.5mm厚、真鍮版を、段の長さに切り、2つ折りにして、竹の間に挟みました。藤の、位置を決める為の、当りです。
コーナーの中間で、中断し、別の辺から編み初めます。この時、上下を入れ替えます。これで、編み進める方向が、替わります。
角の部分は、藤が、混み合い、巻き留めるのが、難しくなります。その為です。
編み込みの、結合部は、藤が巧く差し込めません。竹を、細く平らに削り、差し込んで、筋道を開けて、編み進めました。
編み終わりましたが、組み付け、接着は、もう少し後です。
目止め処理
2液ウレタンを塗り、木粉(粗目)を、撒いて、指の腹で、軽くこすります。
乾燥したら、漆(合成)を塗り、木粉(細粒)を、撒いて少し強くこすります。
乾燥後、漆を浸みこませ、完全硬化させて、サンドペーパーを掛けます。
天板と、底板を、組み付け、接着し、漆を多くした、木屑漆で、接着面を目止めしました。
箱は、完成していません。
完成は、次回です。
コメント 0