2本物の竿掛け [釣り具の製作]
竿掛けに、求めるもの
竿掛けには、3つの要素を考えます。面白さ、利便性、フィーリングです。
金継ぎの竿掛け、ラッキョウ竹の竿掛けは、面白さを優先しています。
カーボンの竿掛けは、1本、1本半、2本で使える様にされています。竹にも、同じようなものが有ります。長竿に合わせているので、短い竿には、硬すぎます。
利便性を重視すると、フィーリングが、犠牲になるのは、避けられません。
私は、様々な試みで、竿掛けを作っています。面白さを求めたり、フィーリングを求めたりです。1本物では、柔らかな竹に、短い、ハードな竹を、何本か継ぐことで、一つの答えを出しました。
フィーリング
竿掛けは、竿を乗せた時、適度に曲がり、その弾力で、合わせをアシストしてくれます。
カーボンと、竹では、合わせの動作が、異なります。竹竿では、肘を伸ばし、竿を、押し出すようにします。カーボンでは、手首を返し、斜め前方に上げます。
竹竿には、少しハードで、胴調子、カーボンでは、ソフトで、返りが速い、先調子が、ベストと考えています。
近況
2本物の竿掛けを、製作中だが、冷房の無い作業場なので、込み合わせまで進んでから、ストップしています。雨が降るなど、酷暑が、一段落してほしい。
これが材料、現在は、万力に取り付け、竿が乗せられるので、比較試験をすることにした。
テストの前に、竹!
竹は、姿と、質で、評価をしています。姿は、形の面白さや、節数、テーパーなどです。質は、曲げた感触や、断面を見て、判断し、4つに分けています。
右から、1番、2番、3番、4番です。
1番は、最も充実した竹で、多くの人は、これを良しとしています。しかし、適材適所ということもあります。常に良いとは、限りません。重く、硬い感触です。
2番は、1番ほどではないが、外皮に近い部分の繊維は、太く充実しています。肉厚は、1番より薄くなりますが、十二分に使えます。
3番は、外皮近くの繊維が、細くなっています。面白い竹なら、竹や、カーボンで、補強することを考え、竿掛けに使います。
金継ぎの竿掛けは、ここに入ります。また、最近は、見かけなくなった、ラッキョウ竹も、ここに入ります。ちゃんと補強して作れば、ポッキリ事故は、起こりません。
4番は、火を入れても、ほとんど、曲げ伸ばしが出来ません。竿掛けでは、装飾に使うくらいです。
テスト
長竿用の竿掛けは、18尺、21尺の竿を乗せて、曲がり具合などを、チェックしました。「竿掛けの寸法が、どの様に影響するか?」、これが判ると、竿掛けを作るだけでなく、購入の時にも、失敗が少なくなります。
テストに使う竿掛けは、四神の万力に付けました。横置き型で、後ろネジで、角度調整をします。竿と干渉せず、微調整が効きます。
急テーパーの竿掛け
一般的な市販品より、急なテーパーで、テーパーは、均一です。込みの径が、14mm、12mm、10.5mmになっている為、長さを変える時は、別の万力が、必要になります。
全長224㎝、元径17mm、中径13.5mm、先径10mmです。竹質は、2番です。
曲がり方は、胴調子と、先調子の中間型、それなりに速い返りをする。21尺は、やや苦しい感じで、18尺前後が、ベストマッチだろう。
合わせ竹の竿掛け
竹に、一回り太い竹を被せて、作った竿掛けで、22節あります。1本半、2本で、同じ万力が使えます。
全長213㎝、元径17mm、中径15.5mm、先径10mmです。表皮に近い、充実した組織が、2重になっている為、竹質は、超1番です。全体の形状は、多くの市販品と同様で、元竿は、緩テーパー、先竿は、急テーパーです。
全体が曲がる、胴調子になっており、21尺に、ベストマッチしていますが、返りは、やや遅い感じです。竹の15~18尺の方が、より合っているように思います。
上が2本、下が1本半で、21尺のカーボンが乗っています。
古い竿掛け
40年くらい前に、作られた並継ぎの竿掛けです。製作者は竿師で、1本、2本が、同じ万力で使えます。購入後、10年くらいで、胴が割れてきたため、段巻、総塗りにしました。
全長212cm、元竿元径19mm、先17.5mm、先竿元径15mm、先14mmです。竹質は、1番とおもわれます。内部が削られ、3mmくらいの、肉厚になっています。
カーボンでは、21尺でも、余裕がある。24尺でも、充分で、竹なら、18前後までいける。先調子になっている為、カーボンに、より適性がある。
カーボン外装竹、1本半
破損した、カーボン竿を利用し、竹を被せた竿掛けで、総塗りです。
全長157cm、元径18mm、中径16.3mm、先径13mmです。
21尺でも、大きく曲がることがない、非常に硬い竿掛けです。
カーボンは、細くても硬い為、大きな影響が出るようです。
製作中の竿掛け
1本物の竿掛けに学び、硬く、急テーパーの元竿に、軽く、柔らかく、緩テーパーの先竿を、組み合わせました。竿当りが柔らかく、返りが速い、カーボン用の竿掛けです。
全長は、186cm、203cm、205cmの3本です。太さは、元径16~16.5mm、中径12~12.5mm、先径10mmです。
竹質は、元竿が1番、先竿が2番です。
上は21尺、少し、曲がりが、大きくなっている。充分に使えるが、ベストとは言えない。
この3枚が18尺、思惑通りに、ベストマッチしている。
他の竿掛けの、曲がり方と、比較すると、先調子になっているのが、良く分かると思います。
一般的な物では、先竿80~100gに対し、製作中の段階ですが、50g程度になっています。元竿の負担が、小さくなった為、曲がりも、小さくなりました。
竿掛けの寸法
竹質で、硬さの違いが、大きく違ってくることは無い様です。2番を基準に、1番で3~5%、超1番でも8%前後くらいです。
硬さの違いは、太さが大きく影響している様です。その為、元、中、先の、直径を測れば、竿掛けの硬さと、調子が推測できます。作る上では、どの様になるかが、判ります。
ベストマッチ18尺では、元径16~17mm、先径10~11mmです。
21尺では、元径17~18mm、先径11~12mmです。
24尺でも、余裕のある竿掛けなら、元径19mm以上、先径13mm以上が必要です。
中径の太さで、調子が決まります。
元竿のテーパーが緩いと、胴調子、急だと先調子です。
中径が、元径と先径の真中だと、中間の調子になります。
本調子
元竿には、先竿の重量と、竿枕、竿の重量が、加わります。元竿は、少しの曲りでも、竿枕の位置では、大きく沈みます。
竹は、太くなると、曲がり難くなります。
太い先竿を、合わせ、全体のテーパーを、緩くすると、元竿だけが、大きく曲がる、本調子になります。
竿当りが硬い割に、大きく沈み込み、返りが遅い。あまり、面白くない、竿掛けが出来ます。
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