風越池の異変 [妄想釣人]
経緯
5~6年前から、成魚放流が始まる。初めの年は、鵜の飛来数が増え、冬場の釣果が減っただけで済んでいた。
成魚放流を繰り返すに従い、ヘラ鮒は釣れなくなっていく。そして、3年くらい前からイカリムシ症が顕著になる。
耐性を持つイカリムシに、効果は無く、スジエビなどが被害者となる。エビは絶滅、ヨシノボリも、顕著に数を減らしている。
彼らの多くは、死んでしまった。
批判的な、賢者の言葉は、愚か者に届かない。
生態系を理解しない、馬鹿な釣具店が、薬品の調達を担い、散布を促していると聞く。今年も、水温が上がり、イカリムシ症が顕著になると、夜間に薬剤を散布している者が居るらしい。
6月末ごろから、大きな異変が現れ始めた。大量に発生するはずの植物プランクトンが減り、水が澄み始めた。
去年は、階段が見えない状態であった。水が入れ替わった訳でもないのに、6月ごろから、階段がハッキリ見えるようになった。
去年は、大量の植物プランクトンで、このように濁っていた。
今年は、このように階段が見える。
7月になり、ヘラ鮒が岸辺に群れるようになった。
倒木の脇にヘラ鮒の群れがある。
浅場に多くのヘラ鮒、よく見ると、どのヘラ鮒もイカリムシ症で赤く染まっている。
階段の、あちらこちらに、ヘラ鮒の姿が見える。
サギは、岸辺に餌がいるので、大喜び。飛来数が増えている。
風越池のヘラ鮒釣り
風越池は、夏池と呼ばれるほど、梅雨明け後はヘラ鮒が良くつれていた。しかし、今年は、まったく釣れない日も珍しくない。昼過ぎに行くと、釣り人が誰一人いないことも多い。去年は、平日でも、釣り人が絶えない。
今年は、誰も居ない。
薬剤の効果
イカリムシに、薬剤は、効いていない。副作用だけが、池の生態系を蝕む。
薬剤は、殺虫成分と消毒薬の混合物である。有機リン系の殺虫成分に、養殖場由来のイカリムシは、耐性を獲得している。イカリムシ症は、前にも増してひどくなり、真っ赤に染まったヘラ鮒も多い。
消毒薬は、生態系の底辺を支える微生物や細菌類にダメージを与えるばかりでなく、ヘラ鮒の腸内細菌にも影響がある。結果、やせ細ったヘラ鮒も目立って多くなってきた。
池の生態系
山から流れ入る栄養分、魚や昆虫などの糞や死骸、利用されなかった植物プランクトンが、有機物である。バクテリアや細菌などの微生物が、有機物を分解する。
分解過程で出る二酸化炭素、利用できるようになったリンと窒素を糧に、光合成を行い、植物プランクトンが増殖する。植物プランクトンを直接、間接に利用して、上位の生物が生きてゆける。
生態系は、有機物の循環により、形作られる。
風越池の現状
消毒薬を含んだ、薬剤散布が度重なり、生態系の底辺を支える微生物は、大きな打撃を受けた模様である。
まだ水は濁っているが、多くは植物プランクトンの死骸である。光合成をしている植物プランクトンは少ない。必要な物が、微生物から供給されない為だ。
酸素が薄くなり、岸辺に非難するヘラ鮒が増えている。
この想像が、事実であれば、風越池は、決定的な破綻をする可能性が高くなった。
秋には、魚の存在しない、別世界に変わるかも知れない。
風越池の生態系は、危険な領域に入ったようだ。
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